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老朽化マンションどうするの?


【大前研一ニュースの視点】 2023年5月12日配信から


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▼自治体が主導で解決していくべき問題
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日経新聞は1日、「マンションの修繕決議、出席者過半数で可能に」と題する記事を掲載しました。これは分譲マンションの修繕促進のため、法制審議会が2024年度にも区分所有法の改正を目指す、と紹介しています。現在は住民集会への欠席を反対とみなすため、「所有者の過半数の賛成」とする要件が満たされず、決議できない場合がありますが、これを「出席者の過半数の賛成」に改正することで、マンションの修繕を促し、価値の低下や所有者離れを防ぐ狙いとしています。

修繕が必要な老朽マンションはここ10年で激増する見込みです。現在、マンションの建て替え件数は増え続け、年間300戸以上になっていますが、対して築30年以上のマンションは10年後には400万戸に到達すると算出されており、これでは全く間に合いません。住民集会で賛成決議を得られないことが、修繕が進まない原因のひとつだと考えられるため、今回その決議要件を緩和することで、少しでも前に進めようとしています。

修繕が進まないもう一つの大きな要因としては、住民が費用負担を嫌うというものもあります。その対策として、韓国では隣接する二つのマンションを一つにまとめることで、バラバラだった頃よりも容積率に余裕をもたせ、その分の部屋数を増やしてその部屋が産む利益で建て替え費用を賄うということをしています。

老朽マンションが放置されることは、地域の土地の価値を下げ、住民の安全を脅かします。私としては、この問題は自治体の問題とし、自治体ごとにフレキシブルに制度をつくれるようにするのが良いと考えます。自治体が工夫して、住民たちが修繕しようと思えるような仕組みをつくり、改装中の住居は自治体が用意するなど動きやすい体制を整え、自分たちの地域の価値を守るべきです。実は私は20年以上前に老朽マンション問題を予見し、そういう内容の法案を提出しましたが、当時から何も進んでいないようです。



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